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ハッスル
新・さすらい放浪記…韓国編その①
- 2009年11月11日 1:15 AM
- 新・さすらい放浪記
[2009年10月某日~25日 日本→韓国・ソウル]
2009年10月下旬。
ハッスルは大揺れに揺れていた。
29日に予定されている後楽園大会を開催するのか、しないのか?
ギリギリ直前まで、判明しなさそうな雲行きだった。
政治的・財政的理由などが複雑怪奇に絡まり合い、
もはや解きほどくこと不可能な、タップアウト寸前状態に陥っていたのである。
そんなさなか、俺は自ら航空券を購入し、韓国遠征に出発せねばならなかった。
今回の遠征先である韓国のプロレス団体・WWAでは、外国人選手が自腹で購入したチケットで
来韓し、韓国でWWA側が清算するという、プロレス界では超異例のトラベルシステムが慣例となっている。
後楽園が開催される場合、25日に渡韓、26日に韓国で試合、27日帰国で、29日に後楽園、30日再渡韓で31日韓国で試合の1日帰国。
そのようなチケットの買い方をすればいいのだが、実はすでに
「最悪の場合、後楽園の前日キャンセルも有り得る」
可能性が浮上してきていたため、もうどうしたらいいのかチンプンカンプン。
チケットを買うに買えない状況のまま、とうとう遠征前日を迎えてしまった。
結局、台所でソウメンを湯がいている最中に神のお告げを受信し
「25日から一週間、韓国にステイする。後楽園が開催されるなら、その分の帰国用Eチケットを大急ぎで日本から送ってもらう」
という実にシンプルなアイデアがひらめき、一週間FIXで成田⇔ソウルのチケットを購入することで落ち着いた。
ちなみに出発前日に購入すると緊急発券手数料なるものが生じるそうで、
同行する他の選手らと同じ便だというのに、その値段は彼らのモノに比べかなり割高となってしまった。
ま、航空代はWWAが支払ってくれるからいいものの、俺だけビジネスクラスを購入したなどと思われてしまった日には
イメージダウンもいいところである。ズルズル…湯がきすぎたな。
さて、韓国へ同行する他の選手とは、‘‘BAD BOY‘‘非道、GENTARO、橋本友彦、円華の4人。
皆、金村キンタロー先輩の側近メンツである。なぜ偶然にもそんなメンツが集まったかというと、
これが実は必然のことであり、WWAの日本人ブッカーはここ数年、金村さんが引き受けているからなのだ。
俺もこれまでWWAには、金村さんのブッキングで何度か遠征させていただいている。
そんなわけで、いざ韓国へ旅立つこととなった。
2年ぶりの韓国。さあ、あとは出発を待つばかり!!
ところが俺は、この二日前に帰ってきたばかりのポルトガルと比較し(ポルトガル編は韓国編の次に!)
「たかだか隣の国」
と余裕ブッこいていたため、当日朝まで荷物をまったくまとめておらず、
家を出る直前に慌ててまとめ電車へ飛び乗ったはいいものの、経由地の新宿では成田行きの特急が全くない時間帯に
直面してしまい、飛行機に乗り込んだのが出発数分前という間一髪のアクション活劇を演じてしまう。
さらに座席がエコノミーの一番前だったため、おそらく後方に乗ってはいるのではあろうが他の選手の姿を確認することもできず、
はたして本当に皆が乗っているのかどうかもわからないまま、アンニョンハセオな機上の人となったのであった。
そんなカンジで落ち着かないまま、飛行機は着々とソウル・インチョン国際空港へと向かう。
搭乗前のドタバタですっかりくたびれ果ててしまった俺は、いつしか眠りに落ちていた。
目が覚めたのは、なにやら食い物の匂いを感じ取ったからである。
パソコン画面のように横長の四角い顔をしたスチュワーデスさんが、機内食を配膳し始めていた。
すでに俺の列には配られたあとで、左右両隣りの乗客たちが幸せそうに機内食を口にしている様子が、横眼の視界に半分ほど入ってきている。
と、俺が起きたことを目ざとく発見し、後ろの列に配膳していたパソコンが、俺の顔を覗き込みに戻ってくる気配ではないか。
こういうとき俺は必ず、まだ寝ているフリを決めこむことにしている。
なぜかというと
「機内食が食いたくて食いたくてたまらないヤツ」
と思われるのが、絶対にイヤだからだ。
おそらく誰もそんなことは思わないのだろうが、
「機内食が食いたくて食いたくてたまらないヤツ」
と思われてしまうことは、俺の人生において『死』を意味する。
仮に一瞬でもそう思われてしまったら、俺はその場で腹を切る。
今後の人生でも決してそのように思われないよう、最善の注意を払って生きていこうと決意を固めている。
閉じた瞼が、パソコンの去って行く気配を感じ取る。
「♪チャラララン!」と、画面を閉じるときのメロディーが、一瞬耳元でこだましたような気がした。
そんなこんなで、隣席で胃腸の弱そうな韓国人が爪楊枝で歯グソをこそぎ落とす
「チッチッチ・・・チュッチュッチュッ!!」という、不快極まりないサウンドとの格闘こそあったものの
(おまけに着陸寸前に屁をこいたようで、さりげなく身体を揺さぶり臭気を周りに拡散させていた)
飛行機は無事インチョン国際空港へ到着。
入国手続きも難なく終わり、荷物のターンテーブルまであっという間に到着したのだが、あまりのスムーズさに
他の日本人選手の姿をまだ確認できていないまま、人を待つことの大嫌いな俺は、一人出口のゲートをくぐってきてしまった。
お迎えは…いた!!
MC・Root(写真①)。
一見、若くして浮浪者に落ちぶれたダメ人間のように見えるが、これが実際ダメ人間である。
カタコトの英語と日本語を駆使する彼は、韓国・WWAの裏方筆頭。
レフェリーではないものの、ハッスルでいえば野口大輔(決して、野口さんがダメ人間というわけではない)のような存在だ。
俺とはかれこれ3年来の付き合いである。
ちなみに、すっかり本名だと信じ込んでいた韓国人ぽくない彼の名前について、この数日後に衝撃の真相が明らかとなるのだが、それはまだ先のお話し。
「タジリ、ゲンキデスカ!?otherニホンジン?」
他の日本人はどこだ?という意味である。
「Maybe coming soon 元気!?」
「ウウウウウウゥー!!」
俺が抱きつくと、笑顔で苦しそうな唸り声を発する。
照れたときや返答に窮したとき、ルートゥは必ず
「ウウウウウウゥー!!」
と叫ぶのだ。
と、他の日本人たちも全員到着。
俺の隣にいるルートゥを浮浪者と勘違いしたのだろう。
訝しげにルートゥを観察する彼らの視線を、俺は決して見逃さなかった。
その後、空港で他の外国人選手らと合流。
カナダからは旧知のレザー・フェイス(二代目)とケニー・ラッシュ&ネルソン・クリード(この二人は初対面)。
アメリカからはなんと、ボブ・サップがすでに来韓しているという。
国籍入り混じるマイクロバス。
宿泊先であるソウル市内へ向け、いざ出陣。
ただしその前に…韓国WWAのオフィスへ立ち寄っていくという。
そこで我々を待ち構えているお方こそ、韓国ではアントニオ猪木級の知名度を誇る超有名人、
イー・ワンピョウ先生(WWA代表)その人なのである。
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